「Today is beautiful day!」スクールバス待ちで会うママたちも、英会話スクールの先生も晴れた日には、みんな口々にそう言う。すっかり冷たくなった風に縮こまる私とは違い、ここに住む人たちは、みんな肌寒い秋の日が好きみたいだ。アメリカではこれからイベントが続く。10月に入ってから、街中も住宅街もハロウィンのかぼちゃやおばけだらけ。ハロウィンが過ぎた来週には、クリスマスムード一色になりそうだ。ニュースは来週の中間選挙に向け、盛り上がっている。街行く人の中に、「I VOTED」というシールをつけている人を見かけるようになった。
英会話スクールに通い始めて、1ヶ月半ほど。ワシントンに来てから、家に引きこもりがちだった私にとっては、毎日同じ時間に家を出て、地下鉄で学校に通うことだけでも新鮮だった。通学時間に人間観察も出来て、いい息抜きの場になっている。

クラスメイトは15人ほど。ほとんどが20代〜30代前半、私と同じくらいとそれ以上の人が数人。家族の仕事や留学に伴いワシントンに来た人、大学や仕事を休んで英語を勉強しに来た人、ワシントンにある大学で専門分野の研究をする傍ら、英語を勉強する人など様々だ。出身は日本、韓国、中国、ロシア、フランス、イタリア、コロンビア、ブラジル、トルコ、アフガニスタン。本当にアメリカには世界中の人が集まっているんだと実感した。
先生もクラスメイトもみんなフレンドリーで、先生の英語も聞き取りやすく「これならすぐに上達できちゃうかも!」と思えた1週目。しかし、世の中そんなに甘くない。言語を習得するのがそんなに簡単なわけがない。2週目から、壁にぶちあたった。英語への自信のなさから、積極的に発言することができないのだ。
授業はテキストを使うが、単語や文法に軽く触れる程度の日も少なくない。「テキストの授業はつまらないのよ」という先生もいる程で、先生からの問いや生徒同士のディスカッションなど、話す場面が多々ある。スラスラと話す生徒、多少言葉に詰まっても発言する生徒。その一方で「これってなんて言うんだっけ?」とか「何を話そうか」とか、立ち止まってしまう私。話したいことは思い浮かんでも、うまく伝えられずに時間切れになってしまい、モヤモヤした気持ちを抱え教室を後にした日もあった。
なんとかこの状況を抜け出したいと思っていたある日、クラスメイトからパワーをもらう出来事があった。授業後のクラブ活動として参加しているカンバセーションクラブで、アメリカに来てからの暮らしについて話をした。4人グループで、慣れない食べ物やHow are you?に対する一番いい返しは?などなど、アメリカで戸惑ったエピソードを出し合った。たどたどしい英語ながら、私は英語だと本当の自分を出すのが難しいという話をして、他のメンバーも「ジョークを思いついても、英語だと言えないよね」と共感してくれた。
そんな時、年上の女性が「私の人生どこに行ったのって感じだけど、でも今はチャレンジしなきゃいけない時だから」と笑った。アメリカに来たばかりの彼女。授業中に分からないことがあるとすっと手を挙げて質問する。時に言葉に詰まることもあるけれど、その姿はいつも眩しい。そんな彼女も慣れない土地や英語に葛藤を抱えていたのかと思うと、ほっとしたような気持ちになった。と同時に、私も同じ「チャレンジしなきゃいけない時だ」と気付かされた。
帰りの電車で、改めて今の自分について考えた。失敗を恐れ、分からないことがあっても、あとで調べればいいかと流してしまう。でも、それじゃきっと成長できない。そして、それは日本にいた頃にも感じていた自分に足りない部分だ。
仕事やそれ以外でも、あと一歩の度胸のなさを反省したことがある。そうだよ、私ってそんな感じじゃん。もう少し積極的にいけたらと思う場面は、これまでに何度もあった。今に始まったことではない。そして、そんな部分をいつか克服したいと思ってきた。
社会人を15年ほど、子育てを経験して、どこか1人前みたいな顔をしていた気がする。でも、そんなことはない。世の中、知らないことばかりだ。まだまだ成長できる部分もある。アラフォーになって「のびしろ」を感じることができるなんて、幸せなことじゃないか!そう思ったら、15人ほどのクラスメイトの前で失敗することなんて、恥ずかしいことでもなんでもないと思えてきた。

日本を離れる前、会社の先輩に「まだまだこれからよ」と声をかけられ、当時は「えーもう結構大人ですよ?」と思ったが、今ならその意味がよく分かる。
アメリカも英語も知らないことの方が多い。先週も日本と形の違う缶切りの使い方が分からず、四苦八苦した。(アメリカ在住の日本人の方のYouTubeに助けられて、無事に開けることができました)まだまだ知らないことだらけの子どものような気持ちで、いろいろ学んでいこう。
✒️サリー