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LIFESTYLE

ワシントンD.C. あれこれ、それから。#3 「Why Japanese people」

気がつけば、もう9月。ここ数週間、朝晩はひんやりし始め、吹き抜ける風も心地良くなってきた。日本では、暑さだけでなく、地震や大雨などの災害も続いていて、心配が絶えない夏だっただろう。

息子の長い夏休みもようやく終わった。約2カ月、サマーキャンプに行ったり、友達と遊んだり、家族で旅行をしたり。暇を持て余した時間も含め、のびのびと過ごすことができた。少しずつ英語でコミュニケーションができるようになってきたこともあり、息子もここでの生活を楽しみ始めている。

息子の成長に喜びを感じる一方、日本を離れた時とほとんど変わっていないのが、私の英語力だ。

アメリカに来てすぐの頃、スーパーやカフェの店員さんの英語のスピードに愕然とした。アメリカに来る前、通勤時間にDuolingoや英会話のポッドキャストで英語に慣れようとはしてきたけれど、ほとんど役に立たなかった。それから数ヶ月が経ち、少しは単語を聞き取れるようになってきたが、日常会話ができるまでは程遠い。

そんな状態でも、買い物など日常生活は送ることはできている。「Hi、OK、Thankyou、Sorry」くらいの簡単な言葉と、それに伴う「顔」をつくることができれば、普段の生活は何とかなる。病院や息子の学校の提出物など、知らない単語に襲われた時はGoogle翻訳が助けてくれる。

でも、やはり物足りない。マンションのエレベーターで、スクールバスの待ち時間で、毎日いろんな人が「How are you?」と話しかけてくれる。「I’m good」とか「I’ m OK」は返すことが出来ても、その先がなかなか続かない。バスを待つママたちに、学校のあの行事ってどんな感じ?とか、仕事との両立はどうしてるの?などなど、本当は聞きたいことは山のようにある。子どもの頃、母親によく「口から先に生まれた」と言われていたくらいおしゃべり好きだ。話したいことが頭に浮かんでも、微笑むだけの私はもはや私ではなく「あ〜本当はこんな人間じゃないのに」とモヤモヤを抱え続けていた。

こんな状況を何とかしようと、4月の終わり頃から、近くの英会話教室に行き始めた。英会話教室と言ってもテキストがあるような本格的なものではなく、英語を練習中の人たちが気軽に行ける「英会話クラブ」だ。

移民の国・アメリカでは、ネイティブスピーカーではない人たちが英語を学ぶことができる場所がたくさん用意されている。ESL(English as a Second Language)と呼ばれるプログラムは、子どもたちへは学校で、そして大人には公立大学や地域のボランティアが運営する教室で提供されている。地域の図書館や教会などに行けば、簡単に参加することができる。

調べると、我が家の近くには2つあった。コミュニティセンターでボランティアが開いているもの、もう一つは図書館で開かれているもの。それぞれ週1回、2時間ほど。少しでも話す機会が欲しいと、どちらにも通い始めた。

ボランティアの方々は、学校の先生をしていたというおじいちゃんおばあちゃんが多く、とても教え上手で、優しい。生徒たちは、私と同じように家族の仕事で移住してきた日本や韓国の人。仕事を求め移住してきたというチリやアフガニスタンの人、子どもの就職や孫の進学を機に、一家で移住してきたというブラジルやインドのおばあちゃんたち。戦争をきっかけに、故郷を離れてきたというウクライナの女性もいた。自己紹介で、それぞれのバックグラウンドを聞くだけでも、違う世界が広がり、ワクワクした。

毎週先生が用意してくれたプリントが渡され、その英文を読みながら、会話を広げていく。

近所のおすすめの絶景スポットや美味しいお店、時には環境問題や国の政治について。多種多様なテーマについて、それぞれが自分の考えを英語で伝えていく。最初は、話すことにビクビクして、なかなか発言することが出来なかった。それでも「How about you?」と話を振ってくれたり、文法がめちゃくちゃでも「それってこういうこと?」と誰かがサポートしてくれたりする。

ある日の英会話クラブでのこと。話のテーマは、それぞれの国の第2言語について。日本では、多くの人が中学から英語の勉強を始め、高校または大学まで英語を学ぶ。だから、日本人の多くは英語の基本的な文法を勉強していると話した。

そこで、男性に「何でそんなに勉強しているのに、日本人は英語を話せないの?」と聞かれた。いや、本当だよ。私も中学から勉強を始め、受験勉強を経て、大学でも英語の授業があった。振り返ると、10年近く英語を勉強している。なのに、私の英語はたどたどしい。「Why Japanese people」だ。

私を含め、参加していた日本人数人が答えに詰まっていると、1人がすっとこう答えてくれた。「日本人は英語でコミュニケーションする機会が少ないからだと思う。文法は知っていても、使う場面がないから、話せないままなんだよね」。本当にその通り。知識はあっても、テストで正解することが目的で、実際に使おうとした場面なんて海外旅行くらいなものだ。身につけた文法の知識は、そのまま腐りかけている。

よく言われるように、英会話はやはり場数。とにかくTalk 、Talkなのだ。毎週の英会話で、少しは会話が続くようになってきた気がする。今の日本の子どもたちは小学校から英会話の授業がある。将来はもう少し英語を話せる日本人が増えるのだろうか。

英会話クラブと共に、忘れかけた知識を取り戻そうと文法のテキストもやり始めた。そして、ドラマ「FRIENDS」のシャドーイングも始めた。

「FRIENDS」好きの夫や友人に、英語を勉強するならこれしかない!とずっと勧められていたが、日本語字幕付きで楽しむだけで、ずっと勉強とまではいかなかった。YouTubeにある解説&シャドーイングの動画をみて、日常会話のフレーズを勉強していく。ネイティブって、こんなに「be supposed to」使うんだとか、「What if」や「huge」の使い方とか、毎回発見ばかりだ。ストーリーが面白いので、飽きずに続けられている。放送終了から20年以上経った今も、テレビで再放送されている。本当に愛されているコンテンツだ。

「FRIENDS」を解説なしで理解するため、そして何よりスムーズに日常会話ができるようになるためには、もっと英語を使うしかない。週2回では物足りない気がして、この秋から、英会話スクールに通うことにした。週4回、英語しか使えない場は、何よりの練習になる。どんな人たちが勉強に来ているのか、そしてどんな話ができるのか、今から楽しみだ。

✒️サリー