まっさらな五感で感じて欲しい。Shoko and The Akillaのありのままの音楽

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まっさらな五感で感じて欲しい。Shoko and The Akillaのありのままの音楽

湘南出身のボーカリスト/レゲエのセレクターであるShokoとギタリストAkillaによるオーセンティック・デュオ。2016年に結成し、ジャマイカン・ミュージックのパーティで活動を開始した直後からコアな音楽ファンの間で噂を呼び、数々のイベントやラジオなどに出演。また、Levi’sやKEEN、Y’sなどのファッションブランドからも声が掛かるファッション性の高さも兼ね備える。常に多方面から注目を浴びるShoko and The Akillaにインタビュー。

音楽との出会いと再会

――まずは、それぞれが音楽を好きになったきっかけを教えて下さい。

Shoko:私は元々幼稚園の頃から歌うことが大好きでした。家族もロックやクラシック、ヒップホップ、ソウル、ブラジルなどの音楽が好きで、家では色んなジャンルの音楽が流れていました。レゲエに出会ったのは、中学の時、姉にボブ・マーリーを教えてもらった時です。いつも良い音楽を見つけたと思って姉に報告しても、姉は「それいいよね〜」って既に知っているのが悔しくて(笑)、それからレゲエに限らずどんどん音楽を深堀していきました。

Akilla:僕は小学2年の頃に、CMで流れていたビートルズの『Twist And Shout』が凄く良いなって思った時のことを覚えていて、今思うとそれが音楽にハマった瞬間だったのかなと。父がギターを弾いていたので、自分も小学4〜5年生の時に弾き始めました。その頃からジミ・ヘンドリックスやクリーム、エリック・クラプトンなどの60年代のロックを聴き始めて、それから色々な音楽を聴くようになりました。

――おふたりとも地元が湘南で同じ高校の同級生ですよね。その頃から音楽の話はしていたのですか?

Shoko:高校の時は、音楽の話は一度もしたことなかったです。なんとなくお互い音楽が好きな人って認識があるくらいで。卒業して19歳の時に、たまたま再会したら音楽の話で意気投合して、20歳で一緒に東京に引っ越しました。

チャンスをつくり、チャンスを掴む

――渋谷Organ Barで定期開催されているジャマイカン・ミュージックパーティー「Version City」でShoko and The Akillaが始動しましたね。AkillaさんもVersion Cityをきっかけに本格的にレゲエに目覚めたとか。

Akilla:2人で初めてVersion Cityに行ったのは23か24歳の時ですが、18歳位の時に、Version Cityを主催しているYossyさんのDJを聞いたことがあるんです。そこでジャマイカのスカを聴いて、「この音楽好きかも」って思ったのがきっかけです。

――そうして現在のShoko and The Akillaの音楽性に繋がるジャマイカの音楽を聴き込んでいくわけですが、すぐに「自分たちが好きな音楽を自分達でやろう」という話にはならなかったのですか?

Akilla:ジャマイカの音楽を聴き始めた時はまだ10代だったので、何となく「憧れの大人な音楽」って感じだったんですよね。それをすぐに自分のギターで表現するのは、まだ出来ないなって当時は感じていました。

Shoko:家で毎日のように、自分達が聴いている音楽をギター弾いて歌ってはいたんですけど、Akillaは別のバンドをやっていたし、人前でライブをするとか、2人で音楽活動をやろうとは最初は全然考えてなかったですね。

――てっきり、2人で音楽がやりたくて東京に行かれたのかと思っていたので意外でした。それから2年ほどVersion Cityに通いつめてShokoさんがセレクターデビューしたのち、いよいよ結成に至ります。

Shoko:ある時ぽろっと「DJって楽しそうですよね、やってみたいな」って言ったら、「じゃあ来月やりなよ」ってOKして頂いたんです。それから半年後に「Akillaも何かやればいいじゃん」「僕ギター弾けます」って話になって。

その頃のVersion Cityは、基本はDJイベントで、スペシャルの時だけバンドを呼ぶスタイルだったのですが、その話の流れで「いつか自分達も、先輩達がDJを引退した時とかスペシャルな機会があった時にライブをやってみたい」って言ってみたら、「じゃあ来月やればいいじゃん」って(笑)

その1回限りのライブの予定が意外と反響が良くて、レギュラーでライブをやらせて頂くようになって、それから他のイベントでも、ライブで呼んで頂けるようになって徐々に活動の場が広がっていきました。

誰の日常にも溶け込む心地良さ

――よく「生活に密着した音楽」と表現されることが多いそうですが、この点についてはどう捉えていますか?

Shoko:スタジオで作り上げるというよりかは、家のソファーとか、出掛け先にギターを持っていって作るとか、日常生活の中で自分達が心地良いと感じる音楽をそのままライブでやっているので、聞く人も自分の日常に重ねやすくて共感してもらえるから、そう呼ばれているのかなって思います。

――肩の力が抜けていて、良い意味で「ゆるい」ところがお二人の音楽の親しみやすさの源なのかなと感じました。曲を作る時の決まり事のようなものはありますか?

Akilla:曲の作り方自体はまだ探り探りで、成立しきっていないです。ファーストアルバムに入っている『日曜の昼下がり』は、自分のイメージとは違った日本語の歌詞をShokoがつけてくれて、お互いの違うイメージがミックスしたからこそ作るのが凄く楽しかった曲です。そう思うと、作り方はあまり決め込まなくても良いのかなって今は思います。

『日曜の昼下がり』

辛くても、せめてパーティーの時だけは

――オリジナルの曲は曲調も歌詞もポジティブなものが多い印象ですが、こちらは意識して作られているのですか?

Akilla:特に意識はしていないですけど、2人で一緒に音楽を作るとなると自然と前向きになるのかな?

Shoko:意識してないけど自然とそうなっているのかもしれないね。でも、個人的に19歳の時に人生のドン底だと思っていた時期があって、それから「生きる=辛いこと」って考えが前提として自分の中にあるんです。だから、曲はポジティブかもしれないですけど「ポジティブに生きていこう!」みたいな気持ちってないんですよね。

――Shokoさんの言う「生きる=辛いこと」とは、どんなことでしょうか?

Shoko:その当時、なんか「世の中って腐ってるんだな」って思ったんです。表向きは綺麗でも裏は違ったり、常識だと思っていたことが違ったりして、社会の生き辛さを感じていました。でも「生きる=辛いこと」という前提を持ったら、凄く気持ちが楽になって、それならどんな些細なことでも楽しむしかないじゃんって思うようになったんです。とびっきり幸せを感じるようなことをわざわざしなくても、小さなことで幸せを感じるようになりました。

でも、社会は簡単には変わらないし、こんな世の中だからこそ、せめてパーティーの時やみんなで音楽を聴いている時は楽しみたいってずっと思っています。

――本当にその通りだと思います。良い音楽聞いていると嫌なことも忘れられますし、特にライブは瞬間的だからこそ、みんなと同じ楽しい時間を共有していることをより強く感じることが出来る、ポジティブな空間ですよね。

Shoko:以前、見に行ったライブを動画に収めるのに必死になっていた時期があったんですけど、カメラ越しでしかその人達を見ていなくて、なんか勿体無いなって思い始めて。五感を刺激させて、その場・その時でしか見られないこと、感じられないことを目一杯楽しむのが自分の一番の幸せだって気付いてから、カメラを向けるのをやめたんです。

『Earthy Smells』という曲の最後に“We don’t need phones anymore”って歌詞があるんですけど、その時体感出来るものはその時だけのものだから、自分達のライブは携帯もSNSも気にせずに楽しんで欲しいって思いを込めています。

『Earthy Smells』

音楽とファッションがあれば、自分になれる

――ファーストアルバムのジャケットの刺繍をLevi’s® TAILOR SHOPが手掛け、5月には配信ライブにも出演されました。音楽とファッションの結びつきの強さを体現されているお二人ですが、ファッションについての考えを聞かせてください。

ファーストアルバム『Shoko and The Akilla』

Akilla:ファッションは意思表明にもなるし、人の表現方法のひとつとしてもすごく好きです。昔からカッコイイと思った音楽をやってる人達のファッションを真似していたし、音楽とファッションは常にリンクさせて考えています。服は本当に、音楽と同じくらい大好きです。

Shoko:私も音楽と一緒に自分の個性を見つけ出しました。音楽もファッションも新しい情報だけをキャッチするのではなく、昔の物にも目を向けて視野を広く持つと、色んな感性が身につくのが楽しいですよね。2人とも古着が好きで、一点物や一生でも着たいと思える服を基準に選んでいます。

Akilla:あと、最近は収納の仕方にもこだわってるんですよ。

Shoko:収納の話はまた後でにしようよ(笑)

――収納の話も聞きたいですが(笑)、やはりお二人のオリジナリティ溢れるファッションセンスは、古着と音楽から作られているのだなと感じました。

Akilla:お洒落して音楽を聴きに行くこと自体が凄く好きなんです。もし、パーティーに気になる子が居るなら、意気込んでお洒落して行くのも良いですよね。

Shoko:そういうのって、ロマンチックで素敵だよね。

Akilla:音楽がある場所って「自分を表現していい場所」だと思うんです。そういう場所があることに救われてきたし、学生の頃は勉強もスポーツも得意ではなかったけど、格好だけはカッコつけてたら、運動部とか勉強ができる同級生たちが「どこで服買ってるの?」とか「ギター上手くてかっこいいな」って言ってくれたことが嬉しかったのを覚えています。音楽とファッションのおかげで、「自分はこれだ」って思えるものを見つけることが出来ました。

――凄く良い話を聞かせて頂きました!最後に、これからの展望について教えてください。

Akilla:ただただ、良い音楽を作っていきたいです。

Shoko:「頑張る」って言葉はあまり好きじゃないですけど、やろうと思えばいくらでも出来るはずだし、自分達に出来ることは、努力すればまだまだあるなって思っています。何十年前の古い服を大切にするのと同じように、自分達の音楽も、何十年経ってもずっと聴いてもらいたいですし、そんな音楽を作っていきたいです。


リリース情報

8月27日(金)『かなしいうわさ(Cover)』配信リリース開始!

湘南出身のShoko(Vo)とAkilla(Gt)によるデュオShoko & The Akillaが、小西康陽がプロデュースしたスクーターズ『悲しいうわさ』をカバー。このアイデアはプロデューサーである今里 ( STRUGGLE FOR PRIDE / 不死身亭一門 / LPS )からの提案によるもの。夜の街の音楽が鳴り響く。もう一度音楽の素晴らしさを感じさせてくれるルードチューン。

各配信ストアへのリンクはこちら↓

https://linkco.re/aUfQdBAU

Shoko and The Akillaプロフィール

2016年10月に結成した湘南出身のShoko(Vo)とAkilla(Gt)によるデュオ。それぞれが幼い頃から音楽好きな両親や兄妹の影響を受けて、ブルースやスカ、レゲエ、ソウルなどのブラックミュージックに親しむ。2018年10月、初の音源となる2枚の7inch 、『Country Road』と『憧れの場所』 をリリースし、瞬く間に完売。2020年3月、自身のレーベル『PAPILLON』を立ち上げ、待望のオリジナル楽曲『側にいれば』を7inchと配信シングルとしてリリース。また、2020年8月にはファーストアルバム『Shoko & The Akilla』をリリースし話題を呼んだ。これまで自分たちの耳で聴いてきた音楽をベースに、ジャンルという枠に縛られない音楽を作り続けている。

Shoko and The AkillaOfficial Website

Shoko and The AkillaInstagram


Text & Photo: 千葉ナツミ

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