ダナンとホイアンの街を歩いていると、多くのカフェに出会う。
通りの角ごとにコーヒーの香りが漂い、夜遅くになっても店の灯りは消えない。
テーブルの向こうでは、若者たちが笑いながら語り合い、グラスの中の氷が小さく音を立てて溶けていく。
日本では「カフェ=昼の時間」というイメージがどこかにある。
けれどベトナムでは、夜のカフェが当たり前のように機能している。
街を歩くたびに、彼らの日常のリズムの中にコーヒーという存在が自然に溶け込んでいるのを感じた。
大通りに出ると、バイクの波が押し寄せてくる。
二人乗り、三人乗り、時には四人乗り。
ヘルメット越しに笑い声が響き、風を切りながら走り抜けていく。
その光景を見て、ふと気づいた。
そうか、彼らはバイクでここへ来ているのか。
だから夜でも飲むのはお酒ではなく、コーヒーになるのかもしれない。
誰かに教えられたわけではない。
けれど、街の流れを見ていると、自然とそう思えた。
移動の手段が、そのまま文化をつくる。
バイクで集い、カフェで語り、また夜の街へと戻っていく。
そのサイクルの中に、ベトナムの人たちのライフスタイルが息づいていた。
PHOTO / TEXT 鈴木大喜
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