【AIRPAQブランドサイトオープン特別企画】「エシカルコンビニ」ディレクター・早坂奈緒と「AIRPAQ」ディレクターインタビュー
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【AIRPAQブランドサイトオープン特別企画】「エシカルコンビニ」ディレクター・早坂奈緒と「AIRPAQ」ディレクターインタビュー

廃棄される自動車のエアバッグやシートベルト、ベルトのバックルを再利用してバッグを製造するドイツのアップサイクルバッグブランド「AIRPAQ(エアパック)」のブランドサイトが12月22日、BLAZEVY内にローンチされました。その特別企画として、環境にも人にも優しいアイテムを揃える話題のショップ「エシカルコンビニ」のディレクター・早坂奈緒さんとAIRPAQのディレクター・堀江さんにお話を伺いました。

気づきと学びで人は変われる

――まずは今回お邪魔させてもらった「エシカルコンビニ」とは一体どんな施設なのか教えて下さい。

早坂:エシカル、エコ、サステナブルなモノ・コトを集めたセレクトショップです。エシカルやサステナブルをもっと身近に簡単に、手に届く範囲のことから始めて欲しいという思いを込めて、英語の「Convenience(身近な、便利な)」の略語である“コンビニ”を入れたブランドネームにしています。

――現在全国で4店舗を構えるエシカルコンビニですが、オープンに至ったきっかけは何だったのでしょうか?

早坂:大きくはふたつあって、まずは私の祖父母のある行動を見たことです。実家が家族経営の食品会社で、高度成長期の時には添加物が入った食品も作っていました。ある時、祖父母が無添加を推奨する先生に自分達の自慢のお惣菜を持って行ったら「まずい」の一言で一蹴されたそうです。そこで気づいた祖父母は180度方向を変えて、無添加での製造へとシフトさせたんです。

今となっては地産地消・無添加って普通ですが、30年以上前に始められたのは先見の明があったからだと思います。それに、キャリアを積み重ねてきた当時50代くらいの祖父母が一気にスタイルを変えたそのパワーって本当に凄いなと私は思っていて。「行動変容」という言葉を私はよく使うのですが、人って変われるし、気付きに反応して“行動を変えた”祖父母の姿を目の前で見たことは原点でもありますし、今のエシカルコンビニにも通じています。

――育った環境が早坂さんのバックボーンに大きく影響したのですね。もうひとつのきっかけは、公式サイトのメッセージでも仰っていたように娘さんの妊娠・出産ですか?

早坂:そうですね。妊娠して自分の食べるものに気を遣うことから始まり、子供の衣服やおもちゃ、洗剤など触るもの全てを気にするようになりました。その流れの中でごく自然に、自分の洋服なども含めて生活に関わるものはナチュラルでサステナブルなものを選ぶようになりました。

今は17歳になった娘と食卓で社会問題についても会話するようになって、「今度こういうお店始めるんだよ」って娘に言ったら「へー。やっとだね」って返ってくるくらい、彼女の方が早くからSDGsについて学んでいたんです。なので、私が先に行っているみたいな感覚は一切なくて、娘も含めて色んな人から教えてもらったり学ばせてもらったりしていることの方が大きいです。

――娘さんのように若い世代はより早く情報にリーチできますし行動に移すスピードも速いですが、もっと上の世代の方はどうしても遅れてしまいますし、自分から気づくことってなかなか難しいと思います。

早坂:祖父母も先生から気づかされたことによって、行動が変わったんですよね。今アパレル業界を含む社会全体が変わることが求められているので、高度成長期の恩恵を受けて生きてきた人達がより一層行動を変えていかないといけないと感じています。

廃材から新しいものへ。創造を続けるブランド

――アパレル業界と言うと、AIRPAQは日本での販売が始まってからまだ1年半と若いブランドですが、ファッション業界内でのSDGsに対する変化を実感することはありますか?

堀江:業界としてはここ2、3年で凄いスピードで変化していますが、それがなかなか消費者には伝わりきっていない部分もあると思います。それはおそらく「分からない」っていうところが大きいのかなと。やっぱり実際に手に取って見てもらって、世界観を感じてもらうことが一番伝わりやすいですよね。

――AIRPAQは実店舗を持たずにECサイトと、東京と大阪のエシカルコンビニで展開されていますね。本物のエアバッグも一緒に陳列されていて、実際に触ってみるとかなり丈夫な素材であることがより伝わってきました。

堀江:エアバッグは人命を守るものなので強度・耐久性の高い素材が使われていて、本来ならかなり長く使えるものですが、それが処分されてしまっているという悲しい現実があります。

早坂:シートベルトやエアバッグなど安全に関わるものは2回使えないから、事故以外で廃車にする場合は、わざと電気ショックで展開させると聞きました。結果的に産業廃棄物になって費用もかかるし、CO2も出てしまうし、車ひとつとっても色んな問題がくっついてきますよね。それがこんなスタイリッシュなバッグになって、男性向けに見えるけど女性も使えるし、幅広い年齢層に響くところに惹かれてセレクトしています。

堀江:ありがとうございます。AIRPAQは車の廃棄物から新たに価値あるものを創造するアップサイクルブランドとして、エシカルコンビニさんと同じ理念で、同じ方向を向いて皆さんにメッセージを伝えています。もちろんAIRPAQだけでなく、エシカルコンビニさんが揃えている環境問題に配慮した商品の一つ一つから新たな学びが得られるので、是非お店に足を運んで頂きたいなと思います。

モノ以上に、気づきを得られる場所

――AIRPAQを始め、本当に沢山のブランドの商品が並んでいますが、早坂さんがブランドを選ぶ基準は何ですか?

早坂:お店のコンセプトである「資源・動物・自然・海への配慮」と「クリエイティビティ」、そして「エクスペリエンス(気づきの連鎖)」をベースにしていますが、基本的に直感で選んでいます。でも、お店に並ぶまでに必ずオーナーさんに会って話を聞いて、商品も実際に使ってみて良いなって思ったものを皆様にお伝えしています。

――せっかくなら思いが込められたものを買いたいですし、作っている人の顔や考えを知ると何だか応援したくなりますよね。

早坂:コンセプトに掲げている「クリエイティビティ」と「エクスペリエンス」を私達独自の強みにしています。と言うのも、私は本当にもの作りをする方々を尊敬していて。良いものを生み出すために、終わりなく追及したり研究したりするパワーって物凄いですよね。私はそういうものを伝えていく伝道者的な役割だと思っているので、お店自体も“モノ”を売っているというよりかは“気づき”の場所として来て頂いて、商品に手を伸ばしてくれたら良いなと思っています。

――これからエシカルコンビニをこんな風にしていきたいという今後のイメージはありますか?

早坂:いっぱいお店を出したいかと言われたら出したくないんです。必要なところに必要な形で必要な人に届くように、出して行けたら良いなと思っています。プランはありますが、今はまだ言えないですね(笑)私達は自分達のことをクリエイター集団だと思っているので、いかにクリエイティブに何が出来るのかを常に大切にして行動していきたいです。

――それでは最後に、お二人から読者に向けてメッセージをお願いします。

堀江:AIRPAQの商品ってモノもコンセプトもいいなと思うんです。自分が担当しているから贔屓しているわけじゃないですよ。(笑)アップサイクルの商品の生産ってすごく難しいのですが、それを上手くファッション性を高くスタイリッシュに落とし込めているなと。AIRPAQは私と同年代の2人が2017年にドイツで立ち上げたのですが、2人とも行動力があってすごくクリエイティブなんです。これからも環境や人のためになるような発信をしていきますので、是非AIRPAQのブランドサイトを引き続きご高覧下さい。

早坂:今回お話ししたことはごく一部ですが、きっかけは何でも良いのでとにかく目を向けて欲しいなと思います。AIRPAQなら、どうしてシートベルトとエアバックが使われているんだろう?とか。私自身は、どうして“エシカル”ってわざわざ掲げなきゃいけないんだろうっていつも考えています。でも、押し付けがましさとはなく、今回の話を読んで頂いてちょっとしたところに共感してもらったり、少しでも「どうして?」と思う気づきのきっかけになったりしたら嬉しいです。

「何かを変えないといけない」みんな少しずつ気づいてはいるけど、何をどうしたら良いのか分からない。モノで溢れる世界は私達に選択肢を与えているようで、実は奪っているのかもしれない。少し立ち止まって、自分が得た気づきから何をしたら良いのだろう?そんな時に「エシカルコンビニ」と「AIRPAQ」は、新たな選択肢を見せてくれる人であり、モノでもありコトでもあります。今日から明日からでも良い。自分なりの“エシカル”をここから初めてみてはいかがでしょうか。

Text by 千葉 ナツミ
Photo by 染谷 かおり


エシカルコンビニ 公式サイト


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