想像をはるかに越えるクリエイティブなエネルギーが爆発。サマーソニック2022でのSquid(スクイッド)の 最新ライブレポート

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想像をはるかに越えるクリエイティブなエネルギーが爆発。サマーソニック2022でのSquid(スクイッド)の 最新ライブレポート

Squid @ SONIC STAGE 8/20(SAT)

SUMMER SONICの魅力といえば、ヘッドライナーの豪華さ以外にも、デビューしたてのフレッシュなアクトをいち早く観ることができる機会として楽しみにしている方は少なくないだろう。3年ぶりの開催となった今年は、UKのロック・シーンを騒がせているブライトン出身のスクイッドが初来日を果たした。敏腕プロデューサー、ダン・キャリーとともに完成させた2021年のデビュー・アルバム『Bright Green Field』の楽曲がライブではどのように表現されるのか注目していたが、想像をはるかに越えるクリエイティブなエネルギーにノックアウトされてしまった。

「リハーサルから出音すごいなっていうのは伝わっていると思います」SONIC STAGE のMC、奥浜レイラ氏が驚いていたように、サウンドチェックの段階から熱量がハンバない。ほどなくして、ジャズ的なインプロビゼーションからシングル曲「Sludge」でこの日のパフォーマンスは幕を開けた。ギターのルイス・ボアレスがベースを弾き、ベースのローリー・ナンカイヴェルがトランペットを担当、音源よりもBPMを上げ疾走感を増したモータリック・ビートが鳴らされ、前半のブレイク部分で早くも客席から拍手が巻き起こる。反復の快楽はもちろんだが、様々なインストゥルメンツが重なり合うことで高揚を生み、ヴォーカル&ドラムのオリー・ジャッジのシャウトが炸裂する。2曲目は「Paddling」、ギターのアントン・ピアソンとルイス・ボアレス、そしてオリーが交互にヴォーカルをとるナンバーで、ゆったりしたグルーヴから急激にテンポを変え、ダイナミクスを増幅させていく。

「日本での最初のライブなんだ、ありがとう」と感謝を述べたあと、「Boy Racers」へ。オリーのヴォーカルが中心に存在しながらも、あくまで楽器のひとつとして存在しているかのような、各楽器のコントラストが秀逸。曲の後半、不協和音とドローン的カオスに変貌を遂げるとフロアから大きな歓声が湧く。そのままシームレスにエレクトロニックなビートなたち現れ、赤い照明でステージが照らされるなか、オリーは立ち上がりシンバルを叩きながらステージを動き回り、エクスペリメンタルなセッションに変貌を遂げる。続く「G.S.K.」は、ローリーのトランペットも相まって、ブレイクピーツ的リズムと音響によりダビーな印象が強まる。

壮大なイントロからイーブンキックとベースの音が鳴り響き「Narrator」が始まると、それに合わせてオーディエンスから拍手が起こる。パンキッシュでファンキーなグルーヴとインダストリアルな音色が混合する、彼らの音楽性を凝縮したナンバーと言えるだろう。高い位置でギターを構えるクールなアントンとステージを動き回りながらダイナミックにプレイするルイス、ふたりのギタリストのコントラストが、曲の展開とともに混沌の度合いを強めていく。「I’ll play mine」というオリーの夢にうなされているかのようなブリッジとともに、爆発的なノイズとフィードバックリズムに包まれ終了。曲ごとにメンバーが楽器を持ち替え、あらゆるグルーヴを飲み込んでいくアンサンブルにひとときも目が離せなかった。

痙攣するギター・サウンドにはパーケイ・コーツやザ・ラプチャーといったニューヨークのポスト・パンク勢を想起させるものの、スクイッドのリズムはよりフリーフォーム。直線的なエレクトロニックなビートをバンドのファンクネスに融合させるだけでなく、随所にルーツのひとつであるジャズのしなやかさを感じられたのも発見だった。クリエイティブなアイディアを、爆発的なパフォーマンスでカタルシスを生み出し、観客を巻き込んでいく。短すぎる!もっと聴いていたい!ライブハウス規模のヴェニューで単独公演を必ず実現してほしい!と思わせる圧巻のセットだった。

文:駒井憲嗣

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