売れることだけが答えじゃない。イラストレーター「Azy」さんが語る、本当に大切なものを見失わない生き方

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売れることだけが答えじゃない。イラストレーター「Azy」さんが語る、本当に大切なものを見失わない生き方

1度見たら忘れられないポップでユニークな世界観。Blazevyでは多方面で活躍するイラストレーターAzyさんにインタビューを。そのインスピレーションの源から、留学経験がもたらした心境の変化、デジタルデトックスまでを広く深く語っていただきました!

ーーAzyさんの作品はビビットな色使いが特徴的です。どのように制作を進めているのですか?

Azyさん:中学生の頃からすべてコピックで着彩しています。それをフォトショップでスキャンして最終調整をしています。

ーー1番創作活動に熱中できる時間帯はありますか?

Azyさん:圧倒的に夜です! 昼はなんかそういうムードになりませんね……(笑)。

ーー創作活動において影響を受けたアーティストを教えてください。

Azyさん:私は日本の漫画がベースで人生過ごしています。生きる上での哲学はだいたい漫画から学んでいます。初めて留学を意識したのも矢沢あいの「ご近所物語」の影響です。最近の漫画家では売野機子※1さんのピュアな衝動で描かれたような作品が好きです。漫画に関してはありすぎるのでこの辺でやめておきます(笑)。海外留学中はデザイナーのマイク・ペリー、セサミストリートなどを手がけたアニメーター、サリー・クルックシャンクなどの海外アーティストにインスパイアされました。

ーー海外でアートを学ばれた経験があるんですね。きっかけはなんですか?

Azyさん:高校2年の時、美大受験のため画塾に通い始めました。でも肌に合わなかったんです。何が悪かったとかじゃないんですけど、細胞レベルで全てを受けつけない感じになっちゃって……日本の美大進学は無理そうだなと、他の道を探し始めました。

当時は小学生から習っていた英語が、アイデンティティになりつつあった時期でもあって。英語ができるなら、海外進学はどうだろうと思い始めました。そこからは、自分の足を使って情報を集め始めて、志望校も自分で決めました。「これだっ!」と決めたら突き進むタイプです。

ーーイギリス留学を通して1番の収穫はなんでしょうか? 

Azyさん:広い世界を見れたというのが大きかったと思います。日本では気づかなかったことを多く知ることができました。

ブライトン大学イラストレーションコースに在籍していた頃のAzyさん。

ーーまた作品製作に対する姿勢などに変化はありましたか?

Azyさん:めちゃめちゃありました! 留学前は「絶対売れてやる!」的な謎の意気込みを背負っていました。今考えれば、多感な時期に日本の都会で育てられた競争心と自己顕示欲で自分の意思ではなかったと思います。

でもイギリスで、いい意味でちゃんと人生を楽しんでいる人たちに出会って。特に私が行ったブライトン※2は、のんびりした雰囲気の地域だったのもあるんですけど。そんな環境で自分を見つめるうちに、私は仕事のためだけに生きたいわけではないと気づきました。

もちろん制作への情熱は今まで変わりません。ただ、商業的に成功するよりも、自分が本当に幸福だと思える創作をやっていこうと。この感覚は日本に帰国してからも根を下ろしていると感じます。

ーー日本に帰国後はどのようにキャリアを築いていきましたか?

Azyさん 最初はデザイン事務所にポートフォリオを送りまくっていたんですが、音沙汰なく、デザイナーとして働くのは難しいと感じました。結局、帰国後すぐは英会話講師として働いていましたね。教えるって立場が合っていたみたいで、苦なく務めることができました。

しばらく、非常勤で講師の仕事をしながら、描いたイラストをグッズ化して売るようにしていました。でもそれだけじゃなかなかチャンスは巡ってこなくて。転機となったのは、帰国後始めたInstagramです。最初は、以前から販売していたLINEスタンプを気に入ってくれた若い子たちが結構フォローしてくれました。その縁で物販展示やコラボをやってるうちに、さらにフォロワーも増えて、業界の人からも声が掛かるようになりましたね。

ーーInstagramなどのSNSを活用する際のマイルールなどはありますか?

Azyさん:Instagramは各投稿ずつのいいね数を増やすというより、ポートフォリオとして自分の作品を観せるようにしています。投稿を1つ1つタップしなくても「こういうスタイルです!」って分かるようにしています。

AzyさんのInstagram。ページを見るだけで作品を細部まで鑑賞することができる。

でも、今は少しSNSとの距離感を見直しています。

ーーそれはどうしてですか?

Azyさん:一時期Instagramをやり過ぎて心のバランスを崩しました。当時は自分の人生と、Instagramのタイムラインが連動しちゃうみたいな感覚があって辛かったです。メンタルヘルスのために2〜3ヶ月Instagram断ちをしました。今でもスクリーンタイム機能を使って1日30分ほどに自制しています。いわゆるデジタルデトックスですね。

ーーデジタルデトックスをして、(創作)活動に変化はありましたか?

Azyさん 「別にSNSを見なくても生きていけるじゃん」と思うようになりましたね。今はすぐ答えが検索できるし、ビジュアルで情報が入ってくる時代だと感じています。メンタルヘルスや創作への衝動が濁らないように、情報を制限するよう工夫しています。

実生活でも大人数の集まりなど、自分の感情を殺してしまう場面は避けるようになりました。創作活動はもちろん、仲の良い幼なじみや、少人数の仲間と過ごす時間をより大切にしています。

ーー今後は製作においてどのようなことに挑戦したいですか?

Azyさん:長編漫画を描いてみたいという気持ちはずっとあります。ストーリーはすでにできていています。ただ、今まで16ページとか短編の漫画しか描いたことなくて、どう落とし込んでいくがが課題ですね。でも絶対に描きたいです! めちゃめちゃ面白くなると思うので。

また、色々なことに対し「やりたいことは自分でやるしかない」って思いが年々強くなっています。今年の初めにやった「Azy Illustrations Coloring Challenge 2021※3」のようにイベントやワークショップを主催して、小さなコミュニティを作るという取り組みは続ける予定です。周りをうまく巻き込んで自分がやりたいことを実現させていきたいです!


※1売野機子
日本の少女漫画家。代表作は「ルポルタージュ」、「MAMA」など。

※2ブライトン
イングランド南東部の都市。イギリス有数のリゾート地としても知られている。

※3Azy Illustrations Coloring Challenge 2021
Azyさん主催のワークショップ型塗り絵企画。
https://officeazy.blogspot.com/2021/01/azy-illustrations-coloring-challenge.html


◉お知らせ

Azyさんが番組内イラストを担当した、Eテレ「ロッチと子羊」。ロッチの二人が中高生の悩みに真剣に応え、哲学の専門家と一緒に解決のヒントを探る番組です。

HP: Eテレ「ロッチと子羊」

<プロフィール>

Azy(あじー)1992年東京生まれ。2015年にUniversity of Brighton BA(Hons) Illustration 卒業後、イラストレーターとして気ままに活動中。イラストレーション、ZINE、LINEスタンプ、ARフィルター、イベント主催にも活動範囲を広げている。
Linktree: https://linktr.ee/azy_azy_azy


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Hibio Rikaco

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