BLAZEVY(ブレイズヴィ)- 見えてないとこジャーナル

Search BLAZEVY ONLINE STORE

今日のパスワード #2 「鉄格子をすり抜ける愛」

その日その日の発見を紐解いていくようなエッセイを毎日更新。忘れかけた毎日のパスワードを紐解きます。

先日、NHKで「しろくまピース 命をめぐる25年の物語」というドキュメンタリーを見ました。愛媛県の「とべ動物園」で誕生したホッキョクグマの「ピース」と、誕生から見守り続けている飼育員の髙市さんとの物語です。

25年前、前例のないホッキョクグマの飼育、いや飼育員という枠を超えて、子ども同然にピースを育てていた髙市さん。みなさん、ホッキョクグマですよ。犬や猫とはわけも違い、ミルクを与え、寝かしつける姿は、私の理解を超え、「すげ〜」としか言葉になりません。

お二人のお子さんと奥様のサポートのもと、自宅にピースを連れて帰り、24時間つきっきりで110日間面倒を見ていたそうです。

その後、動物園での暮らしが始まります。

ある日、成長したピースの体長はあっという間に大きくなり、今までのように檻の中に入り、直接エサをあげたり、ピースと一緒に遊ぶことを、動物園としてこれ以上許すことができなくなったのです。それは髙市さんの命を第一に考えた結果です。周りから見れば、相手は一匹のホッキョクグマなのです。その事を告げられた際の映像は、見ている私も辛かった。何かを愛でる気持ちは、誰にでも生まれ持っているはずです。

それが動物でも人間でも物でも、引き裂かれることは辛いはず。その後も髙市さんは変わらず、「ピース、ピース」と声をかけ、私たちには見えない愛情が鉄格子をすり抜けていました。

ピースは持病である「てんかん」によって、何度も命を落としそうになりましたが、髙市さんの献身的な支えのもと、投薬や検査を続けることで、25年経った今でも「とべ動物園」で暮らしています。ホッキョクグマの平均寿命は25〜30歳らしいです。髙市さんは「いま生きているのが当たり前じゃない」と。

誰かと何かを共にすれば、「愛情」というものが生まれます。それはきっと、周りには見えているようで見えない、2人だけのものかもしれません。しかし第三者が何かしらの形で伝えくれたら見えるものです、改めて「見えてないとこ」を伝えることの大切さを感じました。NHKありがとう!

それでは今日も愛をもって1日よろしくお願いします!あ、忘れてました写真のホッキョクグマはピースではありません。日本平動物園の「ロッシー」です。

✒️📸:TATSUYA KAZOHARA