2025年の瀬、日本のランニングシーンにおいて最も語り継がれるべきトピックの一つがNike(ナイキ)の「インターナショナル ランニング コレクション」だ。今夏、東京で開催された世界陸上競技選手権大会に合わせ、Nikeの原点である70年代アーカイブと、現代の最速テクノロジーを交差させたこのコレクション。それは、ブランドと日本の数十年間にわたる深い繋がりを証明する、記念碑的なプロダクトとなった。
アーカイブから紐解く、スピードの系譜
Department of Nike Archivesの膨大な資料をもとに、朝山勝允氏をはじめとするデザインチームが完成させたのは、過去の「不屈の気概」を現代のランナーへ繋ぐ4つのフットウェアだ。
ヴェイパーフライ 4
伝説の「プリ モントリオール レーシング」の精神を纏い、現代のスーパーシューズへと進化。
アルファフライ 3
1978年の名作「スティング」のデザインエッセンスを、最速のクッショニングへと投影。
ペガサス 41
全てのレースシューズの標準となった「ワッフルレーサー」の意匠を、デイリーランニングの象徴に継承。
ボメロ 18: 長距離の相棒「LD-1000」をベースに、快適な走行性能をアップデート。
革新的なプリント技術でアッパーに直接施されたスウッシュやディテールは、70年代の質感を現代のスペックで表現するという、極めて知的なデザインアプローチを見せた。
日本のコミュニティが熱狂した「ヴィンテージスタイル」の再構築
このコレクションが大きな成功を収めた背景には、日本のランナーが持つ「ヴィンテージフットウェアへの深い敬意」がある。 8月30日の「UNION RUNNING DEPT. BY NIKE」での先行発売を皮切りに、世界中で展開された今作。アパレルコレクションを含め、単なるパフォーマンスギアの枠を超え、街中でもそのヘリテージを愉しむスタイルが定着した。
2025年の幕が閉じようとしている今、改めてこのコレクションを手に取ることは、Nikeが築いてきた歴史の一部を身に纏うことに他ならない。スポーツの未来は、常に過去への敬意から形作られる。その象徴を、今一度アーカイブしておきたい。