BLAZEVY(ブレイズヴィ)- 見えてないとこジャーナル

Search BLAZEVY ONLINE STORE

フィレール直営店「Filer cafe & goods store」オープンしてから見えた新たな景色 〜お店づくりとまちづくり〜

2025年8月1日、滋賀県大津市・琵琶湖のほとりにバッグブランド「Filer(フィレール)」が運営する初の直営店が「Filer cafe & goods store」オープンしました。
店内には白を基調とした爽やかな空間が広がり、併設されたカフェは香ばしいコーヒーの香りが訪れる人を迎えます。

オープンから約1か月半。実際にお客様と接することで見えてきた手応えや課題、そしてこの場所だからこそ叶う新しい挑戦。
ブランドの未来をかけて一歩を踏み出したフィレールの直営店には、ものづくりの背景やお二人の思いがぎゅっと詰まっています。

ーーオープンして約1ヶ月半経ちましたが、実際に店舗運営をしてみていかがですか。

神田さん:
夏休み真っ只中にオープンしたので、ありがたいことにさまざまな地域から多くのお客様にご来店いただきました。近くのホテルに滞在された方が、散歩や琵琶湖を見に来たついでに立ち寄ってくださることも多かったです。8月は琵琶湖の花火大会もあり、その際は海外旅行者の方もいらして、フィレールというバッグとカフェのお店を知っていただける良い機会になったと思います。

商品では、特にこちらのシワ加工のバッグを手に取られる方が多かったですね。サウナへ行く際に荷物をがばっと入れて持ち運べたり、万博や観光に出かける方にはペットボトルが入る小回りのきくサイズ感が人気でした。

和田さん:
想像していた開店前のイメージとのズレはあまり大きくありませんでした。観光に来た方がカフェを楽しみ、時折商品も購入してくださっている様子を見て、“直営店を運営している”という実感を得ています。その中で、改めて神田の接客力の高さに感謝しています。
ただ、店舗内外ともに日々改善しながら運営しています。

ーー店舗運営してみて、改善したい点も出てきたということですね。具体的にはどのあたりでしょうか。

和田さん:
まずはカフェについてです。入口からはカフェ部分が死角になって見えにくく、ふらっと来てくださったお客様がカフェなのか分からず帰ってしまうこともありました。
そこで遠くからでも分かるように『Take out coffee』の看板を設置したり、メニューを掲示したり、ワンちゃんと一緒にお茶ができるようウッドデッキにテーブルや椅子を出したりしました。こうすることで、“ショップだけでなくカフェも楽しめる場所”だと伝わるようになり、気軽にお茶を楽しんでいただいた後に商品もご覧いただける流れがスムーズになりました。

ーー迎える側の視点では気づけなかった、お客様目線ならではの改善点ですね。

神田さん:
そうなんです。店内に誰もいないより、お茶をしている方や商品を見ている方がいると自然と人が集まってきます。まずは“認知してもらうこと”が必要だと実感しました。

また、カフェで提供するコーヒーにもこだわっています。京阪石山坂本線・石場駅から10分ほどの場所にある近江神宮前駅すぐ近くの『うたの珈琲焙煎場』から焙煎豆を仕入れています。こちらは自家焙煎工房で、豆の購入のみのお店。フィレールでお出ししているのは、店頭では販売していないオリジナルブレンドなんです。

珈琲好きな方にはぜひ試していただきたい、私たちも自信を持っておすすめできる一品です。

ーー店内にいると、時折コーヒー豆の香ばしい香りがします。カフェ以外の部分では、何か変化はありましたか。

和田さん:
新たに2ブランドの取り扱いを始めました。1つ目は『SOLAIZ(ソライズ)』というサングラスブランドです。こちらは福井・鯖江で医療用メガネを手掛ける『ERICA OPTICAL(エリカオプチカル)』の技術を活かして作られています。耳にかける部分が特徴的で、長時間着用してもずれにくく頭が痛くならない、非常に快適な付け心地です。フレームやレンズもすべて自社製作なので修理も可能で、長く使い続けられます。

店頭では、日常使いに便利な薄色カラーレンズタイプと、ゴルフや登山などアウトドアシーンで視界がはっきりする偏光レンズタイプを販売しています。スタッフ全員が1本は持っているほどで、夕方の西日が強い時間の運転やレジャーなど、幅広いシーンで重宝しています。

2つ目は、愛知・瀬戸焼の窯元『中外陶園』の招き猫です。暮らしや社会をほんのり明るく照らす置物を作られており、5月に台湾で開催されたポップアップイベントで隣のブースに出店されていたご縁から、取り扱いが始まりました。

店頭では招き猫を中心に販売しています。可愛らしいモチーフですが、実は左手と右手で込められた意味が異なり、両方の側面を併せ持つユニークな招き猫も扱っています。

フィレールのアイテムとともにセレクト商品も見ていただけるのは直営店ならではの強みで、『ここでしか買えない』ブランドを選ぶことで、場所としての価値も高まっていると感じます。

ーーお客様の声と共に、店舗も日々変化しているようですね。オープンから約1ヶ月半、ようやく気持ち的にもひと段落つける頃かと思いますが、いかがですか。

神田さん:
日々お客様とお話しし、実際に購入される様子を見ることで、ようやく“地に足がついた”という感覚があります。反応を直接見られるのは学びにもなりますし、『いいね』と声をかけていただけるのは本当に嬉しいですね。
オープン時のドキドキした気持ちは落ち着きましたが、まだ思い切り一息つける状況ではありません。実際に運営しているからこそ、次々と課題が見えてきます。

和田さん:
オープンから1ヶ月という短い期間ですが、直営店での販売実績も悪くなく、オンラインサイトや取扱店舗での販売もありがたいことに好調です。

お店という“体感できる場”ができたことで、ブランドの見え方が一段ステップアップしたと感じています。ただ、まだフィレールを目指して来店される方は少なく、認知が上がった実感は正直ありません。

私自身のスタイルとしては、ブランド店舗の運営は急な変化ではなく、じわじわ右肩上がりで成長していくのが理想です。急激な上下は自分がついていけなくなることもありますから。このまま少しずつ認知と売上を積み上げていきたいです。

気持ちの面では、直営店ができたことで日常業務に紐付けられる作業が増えました。売上や仕入れの管理、経理関連の書類作成などに加え、直営店の運営も結びついているので、正直ゆったり過ごす余裕はまだありません。

ただ、自分以外に社員やスタッフがいるからこそ、責任感を持って取り組めています。お店の運営は神田に任せつつ、日々何が正解かを模索しているところです。やってみないと正解にはならないですからね。

ーー気持ちの変化に伴い、ご自身の働き方に変化はありましたか。

和田さん:
実は以前よりも休みは減りました。今は定休日や土日も関係なく、オンラインストアや店舗運営以外の業務をこなしています。

自ら商売をしていると、何をしていても仕事が頭から完全に離れることはありません。仕事と日常は切っても切り離せないものですね。

ーーそんな日常の中で、気持ちが少し楽になる瞬間はありますか。

和田さん:
庭の草むしりや洗車の時間が意外と好きです。余計なことを考えず単純作業で体を動かしながら、頭を整理できるので、リラックスできているのかもしれません。翌日は体がバキバキですが(笑)。

また、たまの休日には子どもの試合を見に行ったり、習い事の応援や送り迎えをすることも多いです。最近は下の子がゲームばかりしているので運動を勧めたところ、剣道を始めました。実は私も昔剣道を習っていて、当時の道場で幼馴染が先生をしているので、手が足りないときに少し手伝うのが楽しみです。趣味としてまた再開したいですね。

神田さん:
定休日は休ませてもらっているので、サウナに行ったり、妻と京都へランチに出かけたりとリフレッシュできています。ただし、取引先にとっては平日なので、必要があれば品物を取りに伺うこともありますし、連絡があるかもしれないと少しそわそわすることもあります。
これはショップ勤務時代からの習慣のようなものですが、やはり休みの日でも仕事と完全に切り離すことは難しいですね。

ーー直営店をオープンしてから次の展望として感じている可能性はありますか。

和田さん:
実際にお店をやってみて、滋賀県内や近隣に住んでいる方でもこの場所を知らない方が多いことが分かりました。先日来店された方も『大津のサービスエリアには行くけど、湖の近くまで来たのは初めて』とおっしゃっていました。

琵琶湖をすぐそばで感じられるこのロケーションは貴重です。認知さえ広がれば、大きな可能性がある場所だと思います。次は街歩きマップのような地図を作りたいと考えています。「なぎさのテラス」や周辺のおすすめスポットを掲載すれば、距離感も分かりやすく、ついでに寄ってみようという動機づけにもなります。

お店の認知だけでなく、「なぎさのテラス」全体の認知度も高めたいです。地元の方にももっと知っていただきたい素敵な場所ですし、マップを通じて地域全体が盛り上がればと思います。

また、10月18日(土)には「なぎさのテラス」で各地のコーヒーショップが集まるイベントがあります。いつかは私たちフィレールもイベントを主催してみたいです。誰かに任せるのではなく、自分たちが仕掛けることで、『毎月あそこで何かやってるよね』と意識してもらえるようになれば、この場所全体が盛り上がり、認知度も自然に広がっていくと思います。

まずは1年かけて、この場所の認知を高めていきたいです。

一歩踏み出したからこそ見える景色、耳を澄ませば聞こえてくる声があります。
フィレールは、一歩ずつ確実に前に進み、目の前の課題に柔軟に対応しながら挑戦を続けています。

そして、そんな過程で生まれたバッグは、日常の生活の中でしっかりと役割を果たし、毎日を支えてくれる相棒になります。手にする人に、機能性や品質だけでなく、ブランドの想いまでも伝わる――フィレールのバッグには、そんな確かな価値が込められています。

フィレールの世界を体感できる直営店。
そこにはブランドを生み出したディレクターの和田さん、店舗マネージャーの神田さん、そして笑顔が素敵なスタッフの皆さんが揃います。

店内に並ぶすべての品物には、フィレールが大切にしてきた理由や想いが込められています。そして目の前には琵琶湖、訪れるだけで特別な体験ができる場所です。
ここには、フィレールの世界を感じ、楽しむためのすべてが揃っており、「Filer cafe & goods store」はあなたを待っています。

Filer cafe & goods store
〒520-0806 滋賀県大津市打出浜15−4
open :11:00 〜17:00
close :Tuesday
Instagram

フィレール公式サイト
Instagram

Filer(フィレール)は、日本発のシンプルで機能的なバッグを展開するバッグブランドです。生地にはこだわりを持ち、イタリアのリモンタ社の生地など世界の名だたるブランドから愛される生地も使用しています。シンプルで機能的な、時代に流されないBAGです。2025年8月1日、滋賀県大津市に琵琶湖を一望できる直営店「Filer cafe & goods store」をオープン。

PHOTO:鈴木 大喜
INTERVIEWER / TEXT:酒井 彩花

これまでの記事もあわせてお楽しみください!
🔗Filer(フィレール)の次なるステージ ‒ 直営店オープンへの挑戦(前編)
🔗Filer(フィレール)の次なるステージ ‒ 直営店オープンへの挑戦(後編)
🔗バッグとカフェと琵琶湖。Filer(フィレール)が描く“新たな物語を紡ぐ場所” 「Filer cafe & goods store」