クリスマスから年末年始は、人に優しくしたくなる映画を観よう ~ラブ・アクチュアリー、天使のくれた時間、34丁目の奇跡~
12月といえば、やはり一年で特別ではないだろうか。
気温も下がり、空気が澄んで、本格的な冬支度をはじめ、街のイルミネーションも点灯し、クリスマス、正月の雰囲気が色濃くなる。ウィンターホリデーが始まる。
一方で師走という呼ばれ方もするほど忙しない月であることも確かだ。あれやこれやに追われる人が増え、何かと心にゆとりがもてなくなる時期でもあるのが正直なところ。
そんなあたたかくもさみしい季節に、改めて「ウィンターホリデー(クリスマス)映画」を鑑賞してみてはいかがだろう。
簡単な感想を含めて紹介していこう。
「ラブ・アクチュアリー」2003年
言わずと知れた2000年以降のクリスマス映画。
この映画が好きな方はやはり多いと思う。19名の登場人物が織りなす、ちょっと不器用な人たちの物語。「愛」というものを再定義してくれる心温まる映画。
空港の人々が再会するシーンから始まり、流れるように物語に引き込まれていく。
何かとすっきりしない現実に悩まされる登場人物たちは、特別なことではなく、周りの人たちの愛によってアクションを起こす。表情の変化、さりげない仕草、軽妙なやりとり、気の利いたギミックに笑ったり泣かされたり、あたかも自分もその世界にいるような気になってしまう。たくさんの主人公の中の誰に自分を重ねてしまうのか、も楽しみだ。
「天使のくれた時間」2000年
ニコラス・ケイジ主演の二人の男女の話。
こうやって書くと、「ああ、ラブロマンスね」と思われるのだが、単なるラブロマンスではなく、「家族を持ったらどんな人生だったんだろうか」という独身結婚問わず、家族の価値というものを実感させてくれる映画。
ありがちな「あの時こうしておけば」をフィクションならではのやり方で見せてくれる。
バリバリのエリート、セレブの主人公が、突然「パッとしないパパ」として放り込まれた世界で、些細ながらもじわじわと地味な生活に幸せを見出していく。ラストシーンの主人公のセリフがこれまたなんでもないのにとても力があってじわりとくる。
「34丁目の奇跡」1994年
この映画は1947年の「34丁目の奇蹟」のリメイクである。
王道のクリスマス映画なのだが、子どもの純粋さとそれを守ろうとする大人(サンタ)の純粋なヒューマンドラマ。セリフの一つ一つが金言のような言葉が多い映画。
サンタクロースの存在をどうやって証明するのか。
信じるか信じないか、の本質に気が付かせてくれる。
最初から「サンタクロース」風のおじいさんが登場するが、それはとても親近感を感じる存在。そんな気のいい彼が、クリスマス商戦に巻き込まれながらも、子どもに夢を与えていく。クライマックスは法廷でのやりとり。
弁護士と検事の、サンタクロースの証明に纏わるやりとりが、気がつくととても暖かい人情味にあふれたものになっていく。サンタクロースは大人にも優しい存在なのだ。いや、大人もみんな子どもだった、ということを思い出させてくれる。
いずれの作品も、心が疲れている現代人が、少しずつ潤っていく様を丁寧に描いており、それが妙に肩を軽くしてくれている気がしている。
ヒューマンドラマとしての王道映画だから、ほとんどの人をおいてきぼりにしないし、とても優しい。さらには、「何が大事で、何を信じるべきか。」といった何かと厳しい現実の中でも「良心」を思い出させてくれる。
そして何より、楽しんで観ることができる。少なくとも2時間弱という大事な時間を費やす上で、映画としてはとても大事なことだ。
こと、師走においては。
観終わった後はもちろん、さっきよりも少し幸せな気持ちになっていることであろう。
読者のみなさんへ
メリークリスマス。そして、素敵な年末年始を。