アークティック・モンキーズ、ゴリラズらを手掛ける辣腕プロデューサーのジェームス・エリス・フォードが初ソロ・アルバムをリリース
コンポーザーでありマルチ・インストゥルメンタリストであり、プロデューサーやソングライターとしても活躍するジェームス・フォード。プロデューサーとして、昨年もアークティック・モンキーズの最新作『The Car』、最近ではデペッシュ・モードの最新作『Memento Mori』を手がけている。また彼はシミアン・モバイル・ディスコの片割れでもあるフォードだが、彼自身が主役となるソロ作品をリリースするのは意外にも今回が初めてとなる。シミアン・モバイル・ディスコでの活動がスタートする前の自身の音楽について、アシッドハウスの伝説的存在である808ステイトのグラハム・マッセイや、奇才パディー・スティアからの影響を語っていると同時に、トッド・ラングレン、細野晴臣、ニック・ロウといったレフトフィールド界に多大な影響を与えた巨匠たちの作品も参照にしたことを明かしている。
これまでに関わった大物アーティストを呼び寄せ、メディアが喜びそうなポップ・アルバムにするという手法はあえて選択せず、自身の音楽をとことん追求した本作『The Hum』は、ブライアン・イーノやロバート・ワイアットの柔らかくも奇妙な英国ポップ音楽へのオマージュであり、妻と息子のルーツであるパレスチナへのラブレターだとフォードは説明する。音楽的には、カンタベリー・プログレの牧歌的な力強さを探りながら、現代のヒップホップのダイナミクスから知識を得た作品と言えるが、未知なる宇宙へのレディオフォニックな航海でもあり、時代を超えて心に刺さるクラシック・アンセムを書くという実験に成功した作品でもある。
label: Warp Records
artist: JAMES ELLIS FORD
title: The Hum
release: [Digital] 2023.05.12 [CD/LP] 2023.05.19