ヴァカンス映画『クレマチスの窓辺』主演・瀬戸かほ オフィシャルインタビュー
水辺の街で過ごす爽やかで、ちょっと不思議な、新しいヴァカンス映画。
※あらすじなど詳細はこちらの記事からどうぞ。映画『クレマチスの窓辺』4月8日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて公開
4月8日(金)より公開されるヒューマントラストシネマ渋谷での現時点での舞台挨拶の登壇者が決定。4月8日(金)夜 瀬戸かほ、小山梨奈、永岡俊幸監督
4月9日(土)夜 瀬戸かほ、福場俊策、サトウヒロキ、小川節子、永岡俊幸監督
主演の瀬戸かほのオフィシャルインタビュー
―今回演じた絵里という役にはどういった印象を持っていますか。
私自身はインドア派です。もしも、絵里のように長い休み(ヴァカンス)が取れたとすれば、 家でのんびり過ごしていると思います。そういう意味では、絵里と私はまったく違います。 なので、冒険するような感覚で演じていました。東京で暮らしていると「コミュニティー」 のようなものを意識する瞬間はとても少ないです。でも、今作では東京からやってきた絵里がいろんな人に出会ったり、話しをしたり、大きな事件は起こりませんがささやかな冒険をしていきます。それは私自身にとっても、忘れていた感覚でした。
―せりふ回しや仕草をはじめ、自然体の演技がとても印象的でした。
永岡俊幸監督の用意した台本はありましたが、毎日の現場では、台本の内容と実際に撮影す る映像はしばしば変わっていきました。お芝居はやはり「生き物」なんだと感じました。い かに〝台本通りにやらないか〟とでもいいましょうか。台本に書いてあることよりも、向き 合っている現場をいかに面白くするかを考え、努力したり演じたりする1週間でした。結果 的により自然なかたちのお芝居に近づいていったのだと思います。
―永岡監督の作品には3度目の出演となりました。演出手法など監督の作家性をどう 感じていますか。
監督は「カット」の声をすぐかけることをせず、役者の芝居をじっくりと見ます。台本にあるセリフからはずれていったとしても、現場でそれを見ている監督がOKならばそれが正解。 そういった演出方法の監督のもとで、いろいろな動きやお芝居に挑戦することが刺激的でとても楽しいです。
―アドリブで生まれた演技もかなりあると聞きました。
撮影中、監督は脚本をもっていないんです(笑)。演技をする役者よりも、監督が一番台本に縛られていない。その分、私を含め役者側としては演じる中でいろいろなチャレンジをすることができました。自由度の幅が広く、委ねられる面が多い一方、あくまで演じているのはそのキャラクター自身であることを忘れないよう意識しました。演技のたびに軸がぶれてしまうと、編集・完成した時に統一性が失われるリスクも伴います。アドリブ芝居というものの難しさ、奥深さについて改めて考える貴重な経験ができました。毎回台本とは違うお芝居になり、毎シーン違う結末になることを私自身が楽しみにしていました。
―そういったアドリブの演技は、役になりきっているという感覚から生まれるのでしょうか?
「役になりきる」という感覚は自分には正直分かりません。従兄弟の菊池みずき役の里内伽奈さん、菊池駿介役の福場俊策さんと撮影初日に顔を合わせ、カメラの前に立った時、すでに「昔から知っている親戚」のオーラをお二方ともまとっていたので、自然と絵里としての意識になっていました。
―中でも思い出深いシーンについて教えてください。
みずきちゃんと海に行くシーンです。車の運転について2人で掛け合う場面なのですが、絵里が普段運転をほとんどしていないことがあらわになります。みずきちゃんに「運転するよ」 と言われ、代わってもらうところで本来ならお芝居が終わるはずだったのですが、私は「ありがとう。任せた」というセリフをアドリブで入れていました。完成した映画を観た時には 分かりませんでしたが、後で台本を見てみると、そんなセリフはまったく書いていなくて、 自然に(絵里役になっている)自分の口から出た言葉だったのだと思いました。いくつもの シーンに共通しますが、セリフとアドリブが良い意味で曖昧になっているのがこの映画の特徴でもあります。
―印象的なシーンはどこでしょうか。
夜、蔵に入るシーンのことをとても覚えています。本当に暗くて怖かった。でも永岡監督からはカットがかからず、アドリブで演じた部分も多かったです。日御碕(出雲市)の岩場に も行きました。事前のスチール写真撮影で一度訪れていて、その時はとてもきれいな海でした。台本に書かれていたのも爽やかな海のイメージでした。でも、撮影当日は実に日本海っぽく、すごく荒れていて10~20メートルの高波が打ち付けていました。セリフも忘れて しまうほどの迫力でした。まさに現実が台本を超えてしまった瞬間だったと思います。「自然には勝てないな」と圧倒されてしまいました。東京や生まれ育った神奈川では決して感じられない荒波でした。
―見どころはどこだと思いますか。
美しい水辺の街と、そこで暮らす個性あふれる魅力的な人々、さまざまな人と関わっていく中で影響を受けて、少しずつ変わっていく絵里の心の3つだと考えています。 現在、どこか遠くに行くことが難しい状況ですが、映画の中で一緒にひとときのヴァカンスをお楽しみいただけたらと思います。
―読者へのメッセージをお願いします。
絵里と一緒に過ごしたヴァカンスは、私にとっても忘れられない旅となりました。ささやかな、でも絵里にとって大きな心の冒険をぜひ劇場でご覧いただけますと幸いです!
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